地棟とは
地棟とは棟木の下に棟と平行に架かる太い横架材で、地棟梁とも言う。木造住宅の伝統構法で使用される部材で、曲げ強度のある地松(国産の松)を使用する事が多い。屋根の積雪荷重などを建物全体に分散させる効果もある。
日本の伝統木造建築の用語は多様で、地棟と同じような部材の名称を牛(丑)梁、牛(丑)曳き梁、中引き梁などとも言う。近年は良質の地松が少なく高価な事や、伝統構法で作る家も少なくなっているために新しい家で見る事はほとんど無くなっている。
地棟飾り
地棟は端の部分を妻壁から出したままの状態で建てられている。出ている端部分の木口が見えたままになっている場合は、弁柄などの塗装を施して雨などから保護している。そして多く家では、その部分を保護するためにカバーを取付けている。
カバーには火災除けのおまじないで水の文字を入れたりするなど、装飾を施している物が多くある。これを地棟飾りと呼ぶが、板金屋さんでは地棟カバーと言う事が多いようだ。漆喰で丸型のものは、長野県などでは丑鼻と呼んでいる。
今回は彦根市西今町周辺の民家86戸を観察したが、家がT字型の造りだったり、一つの家で地棟飾りが複数あって形状が違う場合もあって、そのままを含めて合計で100件を調べた。
地棟のカバーに使用されている素材は、トタンが一番多く81件、木材8件、漆喰2件、カバー無しは9件であった。
地棟端の壁からの出方
地棟端の壁からの出方地棟端の壁からの出方地棟端は妻壁の両側から出ているのが一般的だが、2割程度は片側のみ出ている。また片側は1階と2階にそれぞれある場合もあるが、両側にあるのは2階部分のみである。1階と2階両方にある家は6軒あった。1階部分を地棟と呼ぶかは不明だが、地棟的な役割の梁であると思われる。今回の集計では1階部分も地棟飾りとして集計している。
また地棟飾りが一つの壁に複数ある家があり、二つある家が3軒で、三つある家が1軒あった。その場合も反対側にある家とそうでない家があり、地棟かどうかの判別が難しい。
地棟端が壁から出ている位置
地棟端が壁から出ている位置地棟端は妻壁の中央の位置にある場合が一般的で、全体の75%がそうである。これは地棟が棟木と平行に真下に設置しているためで、通常はそのケースが多いようだ。しかし観察していると、残りの25%の家は中央から少し外れている。そのほとんどは玄関側が広い位置にあり、家の表側の間取りを広くとるためだと思われる。
地棟飾りの形
・家型-29% 五角形で家の形になっていて屋根がある。祠の意味もあるのではないか。
・四角形(八角)-28% 四角で角を面取りして八角になっているもの。
・将棋駒形(五角形)-23% 家型の屋根の無い形で、将棋の駒の形のようになっている。
・正八角形-12%
・丸形-4%
・四角形-3%
・六角形-1%
地棟飾りの装飾
無地の物もあるが、半分位は水の文字や模様などの装飾が施されている。
・無地-38% 色は全体の約75%が茶色、次は黒が多い。白は約75%で使用されている。
・模様-30%
・水文字-23%
・天然木そのまま-9%
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タイトル「地棟飾り」の解説用のスライド