滋賀県では、少し田舎へ行くと茅葺きにトタンを被せた屋根の家を多く見かける。たまに茅葺き屋根の家を見かけるが、長い間葺き替えをしていない家ばかりだ。
私が住んでいる彦根市では、そのような家を住宅地の所々で見かける事があり以前から気になっていた。中には手入れされていない家もあり、錆びたトタン屋根には心惹かれたりもするが、解体され減り続ける運命にあると思われる。そこで彦根市内にある茅葺きとトタンを被せた屋根の家を今のうちに記録することにした。
また彦根市では破風に水という文字の書いてある住宅をよく見かけるが、茅葺きにトタンを被せた家の破風にも水と言う文字のある事が多い。水の文字は庶民には許されなかった懸魚の代わりにそれを描くことで火伏せのまじないとしたようで、江戸時代末期に始まり明治の頃に定着したらしい。破風にはそれ以外にも家紋や懸魚で装飾している家もあり、それらについても記録した。
調べていると茅葺きに金属製の屋根を被せたものを「茅葺き屋根の缶詰」と言っていたりする。金属製の屋根を被せると茅葺きでは無くなるが、葺き替えしない古い民家を解体などせずに残す事が出来ているのでそう呼んでいる。使われる金属は従来からトタン（亜鉛メッキ鋼板）が多いけれど、最近はガルバリウム鋼板など違う材料ですることもある。トタンなどを被せる場合、元の屋根の形を生かして施工している家が多いように思うが、開かない缶詰の様な気がする。
まず近所で通りすがりに見かけた所を記録したが、その後は地図で探す事にした。初めはパソコンでGoogleマップの表示を航空写真にして屋根の形状などで探していたが、インドで迷子になった少年が25年後にGoogle Earthで故郷を探し出す実話に基づいた映画「LION ライオン 25年目のただいま」を思い出してGoogle Earthで調べる事にした。
さらにストリートビューでも確認したりする。しかし見つけてその場所に行ってみると、すでに解体され無くなっている事があった。地図の更新は大都市部では1年程度と割と短めだが、彦根市はメイン通り以外ではまだ2012年12月のデータになっていたりするので、そんな事が起こる。
撮影は2020年4月に開始し、2023年11月に一応全てを完了した。合計218戸になったが、Googleマップにあっても無くなっていた家が25戸あった。それらはおそらく10年以内位に解体され無くなったと思われる。
記録している写真は一般の民家なので、戸別の町名や住所は記載していない。それぞれに整理番号を付けているが、初めの3桁はこちらで付与した彦根市にある129の町別番号となっていてギャラリーは【町別の3桁番号】で整理している。
戸別の写真は、それぞれのタイトルまたは写真からリンク先のギャラリーで見る事ができる。
なお写真では他所から移築した家やお寺の建物なども一部含まれている。
撮影したすべての写真は、YouTubeにて公開している。このサイトにあるYouTubeページにリンクを貼ってあるので、見て頂ければと思う。（注：youTubeページは215戸時点で、その後3戸が追加されている）
なお見落としなどもあると思うので、もしここに掲載されていない家の情報があればコメント欄からのご連絡をお願いしたい。
※『彦根市「茅葺きとトタンを被せた屋根の家」の概要』
全体をまとめたものを解説資料としてアップしているので、まずはこれを見て頂きたい。個別の家に付いては、以下のリンクから見る事が出来るようになっている。
[1] 彦根市「茅葺きとトタンを被せた屋根の家」 【001-020】 34戸
安食中町・池州町・石寺町・稲里町・犬方町・宇尾町・大堀町・男鬼町・岡町・海瀬町・開出今町
[2] 彦根市「茅葺きとトタンを被せた屋根の家」 【021-040】 29戸
金沢町・金田町・川瀬馬場町・甘呂町・清崎町・小泉町・金剛寺町・極楽寺町
[3] 彦根市「茅葺きとトタンを被せた屋根の家」 【041-060】 32戸
栄町・笹尾町・下稲葉町・下岡部町・荘厳寺町・新海町・須越町
[4] 彦根市「茅葺きとトタンを被せた屋根の家」 【061-080】 33戸
善谷町・高宮町・田附町・田原町・千尋町・辻堂町・葛籠町・出路町・出町・鳥居本町
[5] 彦根市「茅葺きとトタンを被せた屋根の家」 【081-100】 34戸
中山町・西今町・野口町・野瀬町・野田山町・八坂町・服部町・東沼波町
[6] 彦根市「茅葺きとトタンを被せた屋根の家」 【101-115】 28戸
彦富町・肥田町・日夏町・普光寺町・堀町・本庄町
[7] 彦根市「茅葺きとトタンを被せた屋根の家」 【116-129】 28戸
三津町・三津屋町・南川瀬町・南三ツ谷町・宮田町・森堂町・山之脇町
